トップページ > 炭素クレジット > 炭素クレジットとは

炭素クレジットとは

 気候変動問題は、一般的に「地球温暖化」といわれることが多いですが、この原因とされているのが遠い昔に地下に埋蔵されるようになった炭素分、それを掘り出して燃料として利用、すなわち自動車を動かすためにエンジン内でガソリンを燃焼させたり、工場で加熱するためにボイラで重油を燃やしたり、発電所で電気を生成するために天然ガスを燃やして発電タービンを回したりといったことにより、燃料燃焼の結果発生する二酸化炭素(CO2)が大気中に蓄積することだと言われています。CO2のほか、代替フロンやメタンガスなどが、温暖化を引き起こす物質とされており、総称して「温室効果ガス(GHG:Greenhouse Gas)」とされています。

温室効果ガス(GHG:Greenhouse Gas)

 気候変動の進展を防ぐためには、GHGの大気中濃度を抑制する必要がありますが、その基本的な方法はGHGの発生量を削減することとなります。つまり、例えば自動車に乗るのを減らすとか、こまめに電灯を消して電力の消費量を抑えるとか、そのような活動により、石油や天然ガスなどの化石燃料の消費量が減ることとなり、結果としてGHGの排出量が抑制されることとなります。
 ここで気候変動問題の特質について説明すると、いわゆる劣悪な工場排水による河川水質汚染のような局地的な環境問題とことなり、気候変動は大気中に蓄積するGHG濃度によって引き起こされ、またGHGは地球全体に拡散していくため、例えば日本で排出したGHGは日本にだけ影響を及ぼすわけではなく、アフリカの旱魃の原因の一つになりうるものです。逆に言えば、日本で排出されるGHGを削減することは、アフリカの旱魃防止に寄与する可能性がある、ということになります。

 つまり、GHGの排出は世界中のどこでなされても同じであり、またGHGの排出削減の効果も世界的に見ればどこで行われても同じである、といえます。この原則から考え出されたのが、国連気候変動枠組み条約(United Nations Framework Convention on Climate Change:UNFCCC)の京都議定書*1における「国別割当量(Assigned Amount Unit:AAU)」で、京都議定書では先進締約国(UNFCCCの附属書Iに列記されているので、附属書I国といいます)が1990年のそれぞれのGHG排出量と比較して2008~2012年の京都議定書第一約束期間に削減する率が決められ(例えば、日本は6パーセント削減、附属書I国全体では5パーセント削減)、それに基づいて各国が排出できるAAUが割り当てられました*2。また、このAAUに加えて、より効果的・効率的に世界全体でのGHG排出を抑制し、かつ先進国のGHG削減目標の達成に利用できるようにするために、GHG排出削減の実施者やそのプロジェクトへの投資者が利益を得られるように、排出削減した効果を金銭価値化するという仕組みも考えられました。GHGの排出削減量を取引可能とするために考え出されたのが「炭素クレジット」で、目に見えない「GHG排出枠」を「クレジット」として証券のように扱うことが可能となりました。

 なぜ「炭素」クレジットといわれるのか、それは前述のように気候変動問題の主原因がCO2によること、このCO2は地下に埋蔵されていた化石燃料、これは大昔の生物の炭素分が地中で圧縮された常態で蓄積されていたもので、それを燃料として燃焼することにより酸素と結合してCO2として排出されますが、地中の炭素が大気中に放出されることによるためです。また、GHGとして国際的な取り決め(国連気候変動枠組み条約やその議定書・協定など)の下で規制されているものは7種類ありますが、それぞれに異なる「温暖化係数(GWP:Global Warming Potential)」という気候変動(地球温暖化)を引き起こす強さを示す係数を持っています。この基準になるのが、CO2であり、CO2のGWPを1として、メタンのGWPは25などと定められています。したがって、メタンを1t削減することはCO2を25t削減するのと同じ気候変動緩和効果があるといえます。CO2が基準のガスとなっていることから、GHG削減効果を定量的に示し取引できる形態にしたものを「炭素クレジット」と呼ぶようになりました。

 炭素クレジットの単位は、一般的に「tCO2」(あるいは小さい場合は「kgCO2」や「gCO2」ということもあります)が用いられ、CO2を1t削減した効果という意味で、定量的に評価できるようになっています。
 なお、炭素クレジットを生み出すためには、GHG排出削減量を定量的に評価する必要があり、いくつかのクレジット制度が存在しています。

  1. *1 京都議定書は、1995年に京都で開催された第3回UNFCCC締約国会議(COP3)で採択されました。同議定書は、2008~2012年を第一約束期間として、その期間中の先進国のGHG削減目標を定めました。
  2. *2 京都議定書の第一約束期間以後、すなわち2013年以降(2013~2020年を第二約束期間として設定された)については、2012年の第8回京都議定書締約国会合(COP/MOP8)において京都議定書が改定され、条文の追加や附属書の改定が行われました。なお、日本やロシア、ニュージーランドは、第二約束期間のGHG削減目標が設定されていません。
ページトップ