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ヨーロッパアルプス紀行「⑦カートレイン」

2019.07.28
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 グリンデルワルトからツェルマットへバスで向かう。インターラーケンからツゥーン湖岸を走り、ベルナーアルプスの西端にあるカンデルシュテークの町に着く。

 ユングフラウなどのベルナーアルプスを車で越えるには、大きく東に迂回してグリムゼル峠を通らなければならず、ここからカートレインにバスごと乗りベルナーアルプスを越える。北のカンデルシュテーク駅から南のゴッペンシュタイン駅までは、ベルン-レッチュベルク-シンプロン鉄道のレッチュベルク線で、そのほとんどがレッチュベルクトンネル(14.6km)であり、駅はカートレインの乗降駅であるこの2つのみである。
 
 カンデルシュテーク駅に着いて、しばらくするとゴッペンシュタインからの列車が到着した。43車両編成の先頭車両から次々と乗用車やキャンピングカーがホームへ降りてくる。列車は30分ごとに発車しており、大型バスやトラックが乗れるのは1時間おきとのことである。バイクや自転車の乗客用に普通の客車が1両だけ連結されている。自動車、バスの乗客は車に乗ったままで20分程列車に揺られ、列車が動いている間はエンジンを停止し、エアコンも止めなければいけないので暑い日には汗をかくことになる。
 
 大型バスは連結している車両の前の方となっており、列車車両の幅と高さに対してバスのサイズはギリギリで、サイドミラーを折りたたむか外して、駅のホームから車両に乗り移り、しずしずと前方の車両へと渡って行く。連結車両は全て一直線に並んでいるわけではなく、線路のカーブに沿って湾曲して停車している。定位置に到着し、停止した時は乗客から拍手である。後続のバスを後ろの窓から見ていると、運転手はあまり経験が無いのか、カーブのところの連結部がより鋭角に曲がっているので、何度も窓から顔を出して列車の側壁とバスの間隔を確かめていた。所定の位置に停車させると、運転手はホッと大きなため息である。
 
 スイスでカートレインが走っているのは5か所あるそうだが、峠道は、冬季閉鎖、ヘアピンカーブの連続、迂回するので遠回り、排気ガスなどの自動車交通の課題を電気機関車牽引のカートレインが長いトンネルを通ることでクリアしている。イタリア-ドイツの南北方向と、オーストリアーフランスの東西方向との十字路となる位置にスイスはあるが、障壁となるアルプスの山々を鉄道トンネルで貫けることによって、交通の要衝の地位を確保している。そして、アルプスの景観保持とモーダルシフトによる地球温暖化抑制と環境保護も、頑なに実行しているのである。

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