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ヨーロッパアルプス紀行①ベルニナ特急

2019.07.24
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 梅雨明けの酷暑を避けて、ヨーロッパアルプスを訪れることにした。羽田発、パリ経由でイタリアのミラノで一泊し、初日の目玉は北部のスイス国境に近いティラーノからベルニナ・アルプスを越え、スイス東部のサンモリッツまで「ベルニナ特急」に乗る約145km、2時間10分ほどの旅である。今回の旅行ではアルプスの景観、高原のハイキング、移動の鉄道・ゴンドラなどを楽しむことにしている。
 
 「ベルニナ特急」が運行するレーティッシュ鉄道ベルニナ線は、1910年に全線開通しており、標高441mのティラーノから、途中の最高地点のオスピツィオ・ベルニナ(標高2,253m)までの最高勾配は70‰(パーミル:水平距離1,000mに対する高低差m)に達するが、線路は多数のトンネル、鉄橋を通り、オープンループやヘアピンカーブを多用し、くねくねと山麓をよじ登る。驚いたことに、この路線はスイッチバックの箇所が無いことと、ラックレール方式(レールの中央に歯形軌条のラックレールを敷設し、車両の動力で駆動する歯車とかみ合わせて走行する)ではなく、通常のレールと車輪の粘着力(摩擦力)のみで急勾配を上り下りしていることである。アルプスの山並みを縫うように走り、景観に見事に溶け込んでおり、ほとんどの区間が2008年世界遺産に登録されている。
 
 ティラーノを出て、スイス領に入ると勾配はきつくなり、ブルージオ村の手前でオープンループ橋をゆっくり360度旋回して登る。日本では「大分麦焼酎いいちこ」のテレビCMでお馴染みになった景観である。乗客は全員歓声をあげながら写真撮影に夢中である。しばらくして、中世の街並みが残るポスキアーヴォの村を過ぎたあたりから、ヘアピンカーブの連続で村の街並みを右に左にと眼下に見ながら、アルプ・グリュムまで一気に1,000mほど上ると、イタリアとの国境にあるピッツ・バリュー(3,905m)とバリュー氷河が見えてくる。オスピツィオ・ベルニナからは、氷河湖のビアンコ湖の間近を通り、ベルニナ・アルプスの最高峰ピッツ・ベルニナ(4,049m)やモルテラッチ氷河を見ながら列車は深い谷合をギリギリ縫うように下っていく。
 
 絶景に見とれているうちに、瞬く間の2時間10分でサンモリッツに着いてしまった。アルプスの大自然に圧倒され、100年以上も前から森林限界を超える標高まで、景観とマッチした鉄道を走らせているのには敬服するばかりである。

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