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金峯山寺と吉野葛

2019.05.03
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 吉野山のシンボルであり修験道の総本山である金峯山寺(きんぷせんじ)の蔵王堂を訪れた。吉野山は桜の季節も終わり、薄紅色から緑へと衣替えである。元号も令和と改まり一層清々しい新緑と静けさである。平成16年「紀伊山地の霊場と参詣道」の一つとして仁王門(国宝)と蔵王堂(国宝)は世界文化遺産として登録されている。
 
 仁王門の「平成大修理勧進・蔵王堂秘仏ご本尊特別ご開帳」が行われていた。蔵王堂内に入ると、金峯山寺の本尊である3体の蔵王権現が見下ろしている。中尊の高さは7メートルもあり、左右の像も6メートルもある。3体とも火焔を背負い、怒髪は天を突き、目を吊り上げ、口を大きく開け忿怒の形相をしている。何といっても、青い顔面、青い肌が、圧倒的な存在感を醸し出している。修験道の開祖である役行者(えんのぎょうじゃ)が金峯山での修行の際に感得した(祈りによって出現させた)ものとされている。
 
 修験道は深山幽谷に分け入って、命がけの修行を行う。加えて、役行者は終生在家のまま通したので、在家主義を貫いている。修行者は出家して仏道100%と言うわけではなく、会社勤めをしながら、有休を取得して修行を行っている人が多い。甘ちゃんの私には程遠い世界である。

 蔵王堂の近くの参道では、吉野葛(よしのくず)の葛粉や、葛粉を用いた菓子類を売っている店が多い。甘ちゃん家族一行も美味しい「葛切り」で評判の店に入ることにした。「葛切り」は冷たくなめらかな口当たりで、ほんのり苦みも感じ、懐かしさを感じた。葛はマメ科の多年草で葛の根から摂れるデンプンを冷たい水にさらし精製して葛粉は作られる。葛の根から摂れるデンプンの量は僅かで、製造作業は大変な手間と根気を要し、葛粉100%の本葛は非常に高価なものである。

 葛粉は冷めにくく、冷えると固まるので、菓子の生地や料理のとろみつけの材料などに使われる。また、薬効があり、体を温め血行を良くするので、風邪を引いた時や、胃腸不良の時の治療薬として利用されてきた。葛は救荒植物であり、修行者も行動食としてきたものであるが、今では高級食材である。子供のころ風邪を引くと、越中富山の置き薬と、祖母が作ってくれた葛湯を飲んだことを思い出した。薬は葛根湯、葛は本葛であったのに違いない。

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