カワセミ

2019.04.05
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春の陽気に誘われ、昼休みには鶴見緑地公園内を散歩する。今春の散歩コースはお決まりとなり、公園の南東隅にある地球環境センターから、北へ真っすぐ500メートルほど行った北東口の池までを往復するようになった。足繁くこの池に通い出したのは「カワセミ」に焦がれてのことである。小さな池の端には焦がれ続けたシニア層が五、六人。常連のメンバーが大型望遠レンズを付けたカメラを三脚に設え、レリーズを持ち、お目当ての「カワセミ」の出現を待っている。さながら歌舞伎の花形スターのファンが「出待ち」しているようなものである。
カメラの向いている方向には、ちょうど水中の獲物を狙うのに最適な止まり木となる木の枝がある。聞くところによると、30分に一回程度は餌を取りに飛んでくるそうだが、昼食を終えてからの短い時間では、中々お目にかからない。昼のチャイムが鳴ると直ぐに飛び出し、池の近くのベンチで弁当を食べながら待つと、ようやくお会いすることができた。
「カワセミ」は漢字では「翡翠」と書く例が多く、宝石の「ヒスイ」と同じである。「ヒスイ」のような美しい体色をしていることから「飛ぶ宝石」とか「渓流の宝石」と呼ばれる。羽の色が色素ではなく構造色なので、光の干渉によりエメラルドグリーンになったり、濃いブルーになったり変化する。羽毛の構造が光の波長より微細なため、コンパクトデスクやシャボン玉のように色が変化して見えるとのことである。「翡翠」の文字には「羽」があるように、宝石の「ヒスイ」が「カワセミ」のような色をしているからであり、宝石の方を「カワセミのような石」と言うべきである。空中でホバリングしながら餌に狙いをつけているところを写せたら最高である。
「カワセミ」の捕食は水面を見下ろす木の枝などに止まり、水面下に魚の姿を見つけると、急降下で水中に飛び込み、長いクチバシで獲物を捕らえる。このとき、ほとんど水しぶきを上げないことに着目し、空気抵抗の少ないクチバシの形状をモチーフとしたのがJR西日本の500系新幹線車両である。時速300kmの高速でトンネルに突入すると出口で「ドーン」と衝撃音が出る現象をやわらげるために、役立っているとのことである。
「カワセミ」は近年、都市部でも良く見かけられるようになったが、清流に生息するところから環境汚染のバロメーターとされており、大阪府においては「準絶滅危惧」のレッドリストに指定されている。心ときめくアイドルは永遠に大事にしたいものである。

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