八丁味噌

2019.03.12
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 岡崎城から西へ八町(約870m)、愛知環状鉄道の高架をくぐると、かつて「八丁村」といった岡崎市八帖町がある。旧東海道を挟んで、江戸時代から「八丁味噌」を作り続けている2社の工場があり、どちらも工場見学が可能で、特に予約をしなくても見ることができる。
 今回は大店の方の「カクキュー」の工場を見せてもらった。道路からも目立つ「本社事務所」と、敷地奥の資料館となっている「味噌蔵」は登録文化財となっている。「本社事務所」の北側には、かつて、大豆を蒸すのに使用していた石炭焚きの釜とストーカ炉が置かれていた。
 説明によると、「八丁味噌」は水に大豆を浸漬し、水切りした後、蒸しあげ、冷まして押しつぶした大豆を味噌玉に丸め、種麹をまぶして、室(むろ)で4日ほどかけて豆麹をつくる。この豆味噌麹に塩と水を加えて木製(直径、深さ共に6尺)の大桶に空気を抜きながら(足踏みしながら)約6トン敷き詰め、蓋をかぶせた上から合計約3トンの石を手で積んでいく。大きさの異なる大小様々な石を加重が均一になるように組み合わせ、「二夏二冬」熟成させ、長期間の天然醸造が独特の渋みと旨味を引き出すそうである。一番上の「まんじゅう石」が抑えとして重要で、石積みとして一人前になるのには6年かかるとのこと。未だかつて地震で崩れたことはないそうである。また、木桶は杉の木で、一番古いものは天保年間の製作、桶の箍(たが)は鉄であると塩分が多いので3年ほどで錆びて交換が必要であり、竹を編んだものであれば70年ほど持つとのことだが、製造できる職人が中々いないとのことである。
 工場見学が終わると八丁味噌を用いた味噌汁、こんにゃく田楽が試飲、試食でき、八丁味噌の各種お土産販売、レストランもあり、「八丁味噌」の風味を楽しめる。
人類は食品の長期保存や旨味、栄養価を引き出すために、微生物の力を借りて発酵(醸造)を行ってきた。失敗し活用できなかった場合は腐敗と言うが、発酵と腐敗は紙一重、わずかな条件コントロールの差である。微生物の営みを上手く活用する技を綿綿と伝えていく伝統を感じるとともに、消費者の嗜好の変化に応じた商品や、PRにも不断の努力を行っている企業の姿を見ることができた。

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