2018.08.03
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 朝、地球環境センターがある鶴見緑地の門を入ると、「シャーシャー」と「クマゼミ」の鳴き声が木立からシャワーのように降り注ぐ。まさに蝉しぐれである。一匹の動かない「クマゼミ」がいたので、写真に撮る。蝉の成虫の寿命は短く、この時期は毎日のように亡骸を通路で見る。
 「クマゼミ」は「アブラゼミ」、「ミンミンゼミ」と並んで国内で生息する大型の蝉の代表選手と言える。「クマゼミ」の成虫の体長は60-70mmほど。他の2種に比べて頭部の幅が広く、体も大きい。翅(はね)は透明で、付け根付近の翅脈は緑色。背中側は艶のある黒色である。関東から西の太平洋側と中国、四国、九州の温暖な地域の平地や低山地に生息し、都市部の公園や街路樹などにも多い。 7月下旬から8月上旬、最も暑い頃が成虫発生のピークである。大阪市内では圧倒的に優勢である。
 もう一枚の写真は、我が家のベランダにやって来た「アブラゼミ」である。我が家は大阪市内と違い、奈良盆地の山沿いの団地なので、「クマゼミ」と共存しているようである。午前11時ごろまではクマゼミが鳴き、それから後はアブラゼミが「ジージー」と鳴くという「鳴き分け」が見られる。「アブラゼミ」の体長は「クマゼミ」より少し小さく「ミンミンゼミ」と同程度である。セミの多くは透明の翅をもつが、「アブラゼミ」の翅は不透明の褐色をしている。他と比べると湿度のやや高い環境を好むと言われ、都市部では乾燥化によって生息しにくく、都心部では「ミンミンゼミ」に、西日本太平洋側の大都市中心部で「クマゼミ」に置き換わっていると言われている。
 「ミンミンゼミ」の成虫の体長は35mmほど。幅が狭い頭部と太くて短い腹部をもち、太く短い卵型の体型をしている。ただし翅を含めると「アブラゼミ」とほぼ同じ大きさで、体色は胸部と腹部の境界付近が白いが、他は黒地の地に水色や緑色の斑紋があり、比較的鮮やかな体色をしている。暑さを好まず涼しい環境を好む傾向が強く、東京都内ではたくさんのミンミンゼミの声が聞こえるが、都心部を除くと「アブラゼミ」も依然として生息数は多いそうである。
「クマゼミ」と「ミンミンゼミ」の鳴き声は、耳で聞く限りは全く違って聞こえるが、この2種のセミの鳴き声のベースとなる音はほぼ同じであり、録音した音をゆっくりと再生すればミンミンゼミの鳴き声に、早く再生すればクマゼミの鳴き声となるそうである。「クマゼミ」と「ミンミンゼミ」は、棲息地環境による棲み分けの場合もあるが、「クマゼミ」がほぼ終息した頃に「ミンミンゼミ」の発生が始まるという時期的棲み分けを行っているところもあるようである。
 地球温暖化で、「クマゼミ」が生息地を拡大していると言われるが、一概には言えず、セミたちは、気候環境(温度、湿度、土壌の乾燥度)、樹木の種類、時期的な差などにより棲み分けているようである。
 日比谷公園に近い霞が関に行くと、「ミンミンゼミ」が優勢で鳴いているが、「民-民」と聞こえるのは私の空耳であろうか。

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