古老柿

2021.12.01
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 京都府綴喜郡宇治田原町(つづきぐん、うじたわら)の岩山、禅定寺(ぜんじょうじ)地区で師走の風物詩となっている「柿屋」)(かきや)である。正月の鏡餅の飾り、お茶うけの菓子となる宇治田原特産の干し柿である「古老柿」(ころがき)づくりが行われている。「柿屋」は丸太を組んで棚を載せ、屋根は稲わらで葺き、日差しが良くあたるように南向きの開口部は大きく、寒風が良く通る構造となっている。

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 「古老柿」は「鶴の子」という種類の小ぶりの渋柿を用い、もぎ取った柿の実のヘタを切り、皮をむいて「柿屋」の棚に並べ、15~20日間ほど、寒風にさらし天日干しして乾燥させる。ある程度乾いてきたら、「柿屋」から下ろし、むしろに広げて柿を踊らせる(転がす)ことを何度か行い柔らかくする。糖分が表面に出て白い粉がふき、独特な甘みが出たら、「古老柿」のできあがりである。毎日、夕方にはシートやむしろでくるみ結露を防ぎ、天気が悪くなるたびに雨に濡れないように柿を移動させるなど、生産農家は天気とにらめっこである。

 干し柿には甘柿よりは小ぶりな渋柿が使われるが、山梨県の「甲州百目」、長野県伊那地方の「市田柿」、山形県上山市の「紅柿」、富山県南砺地方の「三社柿」などは、「鶴の子」よりは大きな実でヘタを紐で結んでぶら下げる干し方で作られる。昔は寒冷地の冬の保存食であったが、今は高級贈答品のブランドである。渋柿は、生のままでは食べられないが、乾燥させることにより、渋柿の可溶性タンニンが不溶性に変わり(渋抜き)、渋みがなくなって甘味が強く感じられるようになる。甘柿を干しても渋柿ほどには甘くならないそうである。

 「鶴の子」のような小さな実の渋柿を干し柿にしたものは、「ころ柿」と呼ばれることが多いが、「枯露柿」、「転柿」と名づけているところもある。白い粉をふく姿が古老のようだから「古老柿」と名づけられたと言われているが、農家のお爺さん、お婆さんが、柿をこまめにころころ転がして「美味しくなあれ、甘くなあれ」と作業している様子を思い浮かべるような名前である。宇治田原は宇治茶の産地でもある。正月には玉露の宇治茶を淹れて、伝統の甘味をいただくことにしよう。

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