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室生寺のシャクナゲ

2021.04.22
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 女人高野室生寺(むろうじ)は、例年より早くシャクナゲの花で彩られた。駐車場から、室生川に架かる朱塗りの太鼓橋を渡り右手に行き、受付で入山料を払う。仁王門をくぐり、金堂(国宝)へ上る自然石を積んだ石段の鎧坂(よろいざか)の下から金堂の屋根を見上げながら佇み、石段の両側に咲く花に先ずは見とれてしまう。室生山の山麓から中腹に広がる境内の美しい佇まいの始まりである。

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 仁王門の前の石塔には「女人高野大本山室生寺」とある。寺は天武天皇の勅願による創建であるが、平安時代前期の建築物や仏像を伝え、長く修行の場、学問道場として興福寺の傘下にあったが、江戸時代に真言宗寺院(室生寺派の大本山)になっている。真言宗高野山は女人禁制だが、女性の参詣が許された室生寺は別名「女人高野」と言われるようになったと言う。いつごろからシャクナゲの名所となったかは定かではないが、金堂の横から「北畠親房の墓」へ上がる階段に覆いかぶさるような大きなシャクナゲは見事である。

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 金堂から本堂(国宝)まで上がり、更に五重塔(国宝)へ上る階段の両側にもシャクナゲが鮮やかに咲いている。塔は1998年の台風で折れた杉の大木が倒れ掛かり、大きな損傷を被ったが、二年後には修復された。檜皮葺きの屋根、朱塗りの柱や白壁、塔頂上の九輪(くりん)を日差しが心地よく照らしている。屋外にある五重塔としては国内最小であるが、杉木立に囲まれた静寂な伽藍の中で最も気持ちが安らぐ場である。

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 護摩堂の前庭には、大きなシャクナゲの株がいくつかある。日本シャクナゲのアズマシャクナゲであろうか。以前ホームセンターで買い自宅の庭に植えたのは(右写真)、西洋シャクナゲのようで、どうも趣が異なる。シャクナゲは「石楠花」と書くように、高山の岩場に咲く「高嶺の花」である。室生火山群の地にあり、適度の湿気と寒さが適しているのであろう。寺には国宝や重要文化財の仏像も数多く安置されており、この季節にはシャクナゲの自然美と優美な仏像とに出会える。心が洗われる空間と時間である。

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