余市蒸溜所

2020.10.09
%e4%bd%99%e5%b8%82%e8%92%b8%e6%ba%9c%e6%89%80%e3%82%ad%e3%83%a3%e3%83%83%e3%83%81%e3%82%a2%e3%83%83%e3%83%97

 ニッカウヰスキー北海道工場余市蒸溜所は積丹半島東側基部の余市郡余市町にあり、小樽から車で30分ほどである。ヨーロッパの城のような外壁の正門を入ると、約15万㎡の敷地に石造りの建物が整然と並んでいる。建造物9棟が国の「登録有形文化財」に登録され、経済産業省の「近代化産業遺産」にも認定されている。事前にWebで見学を申し込んでいたが、30分間隔で1回10人までの人数でガイドが構内を小一時間案内してくれた。最後の試飲含め無料である。構内は緑地が多く、平坦で建物内にも段差無く出入りできる。

%e3%83%97%e3%83%ac%e3%82%bc%e3%83%b3%e3%83%86%e3%83%bc%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%b31

 蒸溜棟で、生産工程の説明を受ける。乾燥した麦を粉砕、お湯を加えて撹拌し、麦芽に含まれる糖化酵素の働きで甘い麦汁とし、ウイスキー酵母を加えて72時間発酵させ、ビール状の液体(もろみ)を発酵タンクから単式蒸溜器(ポットスチル)に送り蒸溜を行う。創業時から石炭直火で蒸溜しており、蒸気機関車の罐に石炭を投入するような熟練の技である。次に乾燥棟(キルン塔)では、最初の工程である大麦をピート(草炭)でいぶしながら乾燥させてモルトをつくり、スモーキー・フレーバーを染み込ませるプロセスと説明を受ける。

%e3%83%97%e3%83%ac%e3%82%bc%e3%83%b3%e3%83%86%e3%83%bc%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%b3%ef%bc%92

 1934年創業時の「旧事務所」には当時の社名「大日本果汁株式会社」の表札が掛かり、ウイスキーは熟成が必要で即商品化ができず、りんごジュース等の製造販売をしたとのこと。「日と果」を取り、1952年「ニッカウヰスキー」に変更したとのことである。貯蔵庫を改造した「ウイスキー博物館」では、ウイスキーの歴史や製造工程が学べ、NHK連続テレビ小説「マッサン」で放映された、創業者の竹鶴政孝と夫人リタに因むものも展示されている。移築した「旧竹鶴邸」では、夫婦の仲睦まじい暮らしの様子を垣間見た。

%e3%83%97%e3%83%ac%e3%82%bc%e3%83%b3%e3%83%86%e3%83%bc%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%b33

 貯蔵庫は適度の温度・湿度が保てるように、床は土のまま、外壁は石造りである。樽は2段積みで上下の品質にバラツキが無いようにしている。蒸溜した原酒は無色透明だが、熟成中は樽の木目を通して呼吸し、まろやかな香味と琥珀色に変わっていく。20年で半分程度蒸発するが、「エンジェル シェア(天使の分け前)」と言うそうである。フォークリフトで樽を運び出して行ったが、どの樽を開封しブレンドするかは仙台工場の樽も含め、千葉の柏工場の「ブレンダー」が決め、柏工場で商品とするとのこと。「マッサン」が追い求めた「スコッチウイスキー」へのこだわりと「男のロマン」を感じる「蒸溜所」である。

ページトップ