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地蔵川と梅花藻

2020.08.24
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 ようやく梅雨が明けたが、その後は連日の猛暑日である。どこか涼しいところは無いかと思っていたら、「梅花藻(バイカモ)」が年中水温14℃の川に咲いているとテレビニュースに流れた。水温14℃の言葉に惹かれ、滋賀県米原市醒井(さめがい)の地蔵川を訪れた。JR東海道線の醒ヶ井駅からも徒歩すぐのところの古い街並みに地蔵川はある。キンポウゲ科の沈水植物「梅花藻」が所々で群落をなしており、糸状に分裂した葉が流れにそって伸び、5つの花弁が白い梅のように水面に咲いているのは、愛らしく涼しげである。

 「梅花藻」は、初夏から晩夏まで咲き、適温は15℃ほどで25℃を超えると生育できず、清らかな流水でないと生育できないそうである。ある群落の花が紅白となっているので良く見ると、誰かが百日紅(サルスベリ)の花弁を「梅花藻」の上に浮かべたようである。また、川の中をすばしっこい泳ぎをする魚がいるのに気づいた。説明書きによると滋賀県と岐阜県のみに生息が確認されているトゲウオ科の「ハリヨ」である。「梅花藻」を巣や産卵床として利用しているとのことである。地元の人はスイカを川に浸して天然の冷蔵庫として利用している。まったくのどかな風情である。

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 醒井は中山道(なかせんどう)六十九次の61番目の宿場であり、地蔵川に沿って旅籠(はたご)や本陣などの跡があり、古い建物が今でも残り宿場町の面影が見られる。地蔵川の源は、日本武尊(やまとたける)の伝説が残る加茂神社の崖下から湧き出る「居醒の清水(いさめのしみず)」で、平成の名水百選の一つとなっている。神社の上の山際を名神高速道路が通り、車が通る音が引っ切り無しであるが、中山道の昔から、湧水の量も水質も変わらず、地元の人は地蔵川の流れを大事にしているのがわかる。

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 年中水温14℃で、これほどの流量があるなら、冷熱源として冷房に利用したら、効率が良いだろうなと、技術屋はつい考えてしまうが、冷水で冷やした分は温水にして地蔵川に戻すことになり、「梅花藻」や「ハリヨ」の生態を壊してしまうことになる。中山道を旅した人は、地蔵川の水と「梅花藻」の花で旅の疲れを癒しただろうと想像するが、現代人は車の姿が見えない旧中山道の佇まいと 14℃の清らかな水のせいで、癒しは「倍かも」しれない。エコはエコノミーを優先するとエコロジーをダメにしてしまうことがままある。

 

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