スズラン

2020.05.27
%e3%82%b9%e3%83%a9%e3%82%a4%e3%83%891

 奈良県は5月14日に緊急事態宣言解除となり、外出自粛も緩和された。とは言え県境を越えるのは憚られるので、近場の日本スズランの群生地を見に行くことにした。国道369号線の香酔峠(こうずいとうげ)を超えると、奈良市都祁吐山(つげはやま)町に着く。国道脇に停車し、800mほど香酔山に向かって棚田脇を上り、最上部に群生地はあった。白い清楚な鈴のような花を咲かせ、ほのかな甘い香りをさせている。かつては吐山一円に自生し、この季節には芳香が漂い、香酔はその名残だそうである。

 ただ一人の先客の地元のカメラマニアの話では、スズランは葉の陰に花を咲かせるので、地面から上にカメラレンズを向けないといけないが、ここは群生している花が一段高いところに咲き、立ったままの目線で写真が撮れるのでアングルが良いと言っていた。地元の方が下草刈り、枝打ちなど周辺環境の整備に努力されているお蔭である。ここは標高が575mほど、クヌギやコナラの広葉樹と杉の木に囲まれ、太陽光を適度に遮り、スズランの生育に適した条件となっている。冷涼な気候を好むスズランが自生する南限地として、昭和5年(1930年)に天然記念物に指定されている。

 一般的に観賞用に栽培されているスズランの多くはドイツスズランである。吐山の日本スズランと、我が家の庭のドイツスズランを比べると、日本スズランは葉も小さく、花茎が葉より短く、香りもおとなしい。スズランは強い芳香を放つが、毒性も強く、花も葉も根も危険であり、放牧地に自生するスズランを牛が食べることはない。スズランの生育にはあまり手間はかからないが、ここ南限の地に自生するのは地球温暖化が進むと難しくなるのではないか、北上かより高い所へ移動できるのであろうか気になるところである。

 スズランは香水の花の香り(フローラル)として、ローズ、ジャスミンとともに良く使われ、有名なのが「Diorのディオリッシモ」で、かのダイアナ妃も愛用し、スズランの爽やかな優しい香りをさせエレガントさを演出していたそうである。スズランの花言葉は「幸福の再来」「純粋」「純潔」で、春の訪れを告げる花であることから「幸福の再来」、ヨーロッパでは聖母マリアの花とされることから「純粋」「純潔」、花嫁のブーケとして良く使われるそうである。コロナ禍が終息し「幸福の再来」を祈るばかりである。

ページトップ