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鈴鹿のしだれ梅

2020.03.05
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 今冬は暖かく梅の開花も10日ほど例年より早く、各地の梅の名所は2月下旬には見頃を向かえたところが多い。
先月は新型コロナウイルスのせいで、何処にも出かけず、家に籠っていたが、ウグイスが観梅を促すようにホーホケキョと庭で鳴いている。大勢の人が集まらず、屋外なら大丈夫だろうと、少し肌寒い日に三重県鈴鹿市の「鈴鹿の森庭園」を訪れた。

 「鈴鹿の森庭園」は、三重県の植物園事業者が2014年に開園した「しだれ梅」の研究栽培農園である。
「呉羽(くれは)しだれ梅」を主に、約200本の日本各地から集めた名木を、鈴鹿山脈を借景とした庭園に植栽している。
園内に入ると直ぐ目の前に、日本最古と思われる呉羽(くれは)しだれ“天の龍”“地の龍”が大輪の花を艶やかに咲かせて、どっしりと構えている。
日本伝統園芸文化のひとつである「仕立て技術」の存続と普及を目的として、しだれ梅の研究栽培を行っているとのことである。

 空いている園内をゆっくり散策していると、さぁ~と風が吹き、梅の甘い香りが辺りにぱっと広がる。
「東風(こち)吹かば匂い起こせよ梅の花 主なしとて春な忘れそ」と詠んだのは道真公であるが、この辺りは、西高東低の冬型の気圧配置の時には、北西の季節風が鈴鹿山脈を越えて伊勢湾に向かって鈴鹿おろしが吹く。鈴鹿おろしが吹くと、匂いとともに花弁が舞い落ちて地面も彩っている。四方に枝垂れるように剪定して大輪の花の美しさを引き出す仕立ての技、散った花弁模様を描く土盛りの技が見事である。

 今、各地の観光地では閑古鳥が鳴く状況であるが、ウグイスやメジロたちは匠の技が受け継がれた名木に来て、新型コロナウイルスなどどこ吹く風とさえずっている。まったく平穏な時間と空間である。一日も早く新型コロナウイルスが終息することを願ってやまない。

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