太陽の石

2020.01.29
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 宿泊先のホテルからほど近い公園にあるメキシコ国立人類学博物館に、閉館まで1時間強の時間があるので飛び込んだ。この博物館はマヤ文明やアステカ文明に代表されるスペインによる征服以前のメキシコ高原、ユカタン半島などに見られるメソアメリカ(中央アメリカ)文明のものを主に展示している。

 時間が無いので、最も目玉となっている展示物である「太陽の石」を先ず見る。中々インパクトがあり見入ってしまう。異次元の世界とでも言うか、摩訶不思議なものである。「太陽の石」は、1790年にメキシコシティの中央広場から発掘され、約24トンの玄武岩に直径3.6メートルの円形のモチーフが彫刻されており、アステカカレンダーと言われる石である。アステカ歴は2つあり、占術に使う260日暦と、国家行事を運営するための太陽暦である365日暦の2つの体系を持っていた。太陽暦では1年は365.2420日と計算され、現代の計算との誤差は0.002日という正確さを誇っているという。

 この石のモチーフが何を意味しているか様々な解釈がされている。一説では、中央に大地の神の顔が描かれ、周囲の四方の動物は、アステカ神話における現在の時代の前の四つの時代を象徴しており、その周囲にはアステカの祭祀歴や、8つの三角形で8つの方角を表し、全世界を象徴している。一番上には「十三の葦」の日付が記され、現在(第五)の時代の始まりの年であり、アステカ帝国を建国した王の即位の年でもあり、天地創造とアステカ帝国建国を一致させ、全体としてはアステカ帝国による世界支配を正当化していると言う。アステカ帝国が存在したのは1428年から1521年の短い間であったが、この石に表現されているアステカ文明の世界観、宇宙観は、我々とは異なる歴史的出来事や自然環境から生じたものであって、創造しがたいものである。

 そんなことを考えこんでいる内に、あっという間に閉館時間(19時)が近づいてしまった。展示棟はシンプルなつくりで中庭を囲んで配置されていて、とても分かりやすく、中庭には巨大な滝が設置され、太陽の移動や見る角度で光が変化し、見飽きない。展示物は触れるほどの近さで展示され、写真撮影も可、入場料も80ペソ(約600円)と安く、メキシコ人は太っ腹である。メキシコの太陽日射は強烈であるが、人類学博物館の展示も強烈な印象を受けた。今回は目玉の展示物だけを駆け足で見て回ったが、チャンスがあれば1日かけてゆっくり見学してみたい。

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